我が家の子供たちが喘息と言われました。きっかけは、4歳息子がプールへ行った後、ゴホゴホと咳をしながら、「苦しいー!」と言い始め、熱が出たことです。その時は休日でしかも夜だったこともあり、救急車を呼ぶか悩みました。翌日ちょっとマシになるも、苦しそうで食事もとれないような状況であったため、休日診療へ行くかどうか大変悩みました。
結果としては救急車も呼ばす、休日診療へも行かなかった(最悪)のですが、翌朝(平日)、一番に受信すると、救急車を呼んだ方がよかったレベルだったそうです。休みはつきっきりで看病していましたが、連れて行ってあげるべきだったと後悔しています。判断が難しいですが辛そうだったら迷わず連れて行ってあげてほしいと思います。
その後、すぐに喘息の本を購入しました。
小児喘息とは
喘息とはアレルギー疾患の代表的なもののうちの一つです。喘息とは空気の通り道である気道のうち、肺から先にある気管支が炎症を起こす病気で、正式には「気管支喘息」と呼びます。喘息は成人と小児では、原因が異なることが多いですが、ここでは、小児喘息に焦点を当てます。小児喘息の95%はアレルギー性のものだそうです。
アレルギー性の喘息は、喘息の分類としてはアトピー型喘息になり、ある特定のアレルゲン(アレルギーのもとになる物質)に対してアレルギー反応(発作)を起こすものです。そのため、アレルゲンを特定するためにIgE(アイジーイー)抗体を詳しく調べます。
アトピー型喘息のメカニズム
IgE抗体はアレルゲンを攻撃する働きをします。気管支にダニや花粉などのアレルゲンが入り込むと、それらを迎え撃つために、体内でIgE抗体が作られます。
大量に作られたIgE抗体は、体内にあるマスト細胞の表面にくっついて待機しています(感作と呼びます)。感作された状態で再度アレルゲンが侵入し、このIgE抗体にアレルゲンが付着すると、マスト細胞が刺激され、アレルギー物質(ヒスタミンやロイコトリエン)が放出されます。
アレルギー物質が気管支を刺激すると、筋肉が収縮して気管支がくびれたり、粘液(たん)などの分泌液が増えたり様々なアレルギー症状を起こします(即時性アレルギー反応)。気管支の炎症のために細くなっている気道は、さらに細くなり、呼吸が苦しくなります。
喘息の発作を起こす原因
喘息の原因には以下のように様々なものがあります。ただし小児喘息の原因の多くは吸入アレルゲンで、ダニなどのハウスダストです。あと、うちの場合は経験的に寒くなったり(身体が冷えたり)、冷たいものを飲んだりするとゴホゴホしだすことが多いです。以下で言うウイルス感染や天候なども要注意だと思います。
原因 | 内容 |
吸入アレルゲン | ダニや花粉、動物の毛やフケ、埃やカビなどのハウスダストです。(ハウスダスト:ホコリの中でも特に1mm以下の肉眼では見えにくいもののこと)特に問題となるのがチリダニ(ヒョウダニ)です。チリダニは肉眼では見えないほど小さなダニ(約0.3mm)で、死ぬとさらに粉々になります。そのため、気管支の奥まで届いて喘息を悪化させます。 |
ウイルス感染 | 風邪をひいて気管支が炎症を起こすと喘息の症状が悪化します。なかでも「ライノウイルス」は喘息を悪化させます。種類が多いので何度もかかります。 |
天候 | 季節の変わり目、台風や低気圧が近づいたり、気温や湿度の急激な変化によって喘息が悪化することがあります。 |
空気汚染 | 受動喫煙、自動車の排気ガスやPM2.5、硫黄酸化物なども喘息の発症や悪化に影響します。 |
激しい運動 | 激しい運動をした直後に喘息の発作が起こることがあります。冷たく乾燥した空気を吸い込むことで気管支が収縮するためです。 |
その他 | 食物アレルゲンやストレス、大泣き、大笑いなども症状を悪化させる原因にもなります。 |
喘息発作のサイン
喘息かな、どうかなと思った時に確認するのが喘息のサインです。ただの風邪かな?と思って病院に行かなかったりすることがないように(経験談)、喘息かなと疑ってみたほうが良い、と思います。
喘鳴
喘鳴とは、「呼吸の音の異常」のことを言います。「熱がある=発熱」と同じく、「呼吸音の異常=喘鳴」です。そのため、「喘鳴」の中にも様々な種類の「音」があり、その音によって、考えられる原因が変わってきます。
息を吐くときに呼吸音の異常があるときは、一般的に、「下気道の異常」といわれます。
空気で膨らんだ肺胞から空気を出す際に、肺の中(気管支)の空気の通り道が狭いため、空気抵抗が増え、「ゼーゼー、ヒューヒュー」と音が出て、息を吐きずらくなります。
陥没呼吸
喘息の発作時には陥没呼吸などで程度の判断をしますが、実際に見たことがなければどのような状態がどの程度の発作なのかわかりにくいので分かりやすい動画を貼り付けます。
喘息発作の程度
喘息発作の症状により、どのような程度の発作なのかを判断します。
程度 | 症状 |
小発作 | ぜん息発作で、軽いぜん鳴があるが、呼吸困難はなく、会話も動作も通常通りの状態。 小発作が起きたら、とりあえず医師に指示された頓用薬(β2刺激薬、場合によってはテオフィリン薬を併用)を吸入または内服させ、ゆっくり腹式呼吸をさせる。 改善しないあるいは悪化する場合は、救急受診をする。 |
中発作 | 明らかなぜん鳴があり、日常生活が制約される。話しかければ返事はするが、機嫌はやや不良。遊びはやや困難、食事もやや不良で、睡眠中に何度か目を覚ます。陥没呼吸、呼吸困難を認める。直ちに指示された服薬(吸入・内服)し、改善しない場合は救急受診する。 |
大発作 | ぜん鳴が著明で、日常生活は不能かそれに近い状態である。話しかけても返事ができず、遊び・食事・睡眠ができない。会話も単語がやっと話せる程度。呼吸困難は著明で、起坐呼吸(横になると息苦しく、状態を起こしたがる)、時にチアノーゼを認める。指示された薬を服用後、直ちに救急受診する必要がある。 |
病院に行く目安は、中発作以上ですが最初のうちは小発作でもよいと思います。夜間や休日であっても中発作であれば行くべき、大発作であれば迷わず行くことを自戒も込めてお勧めします。
ちなみに我が家の長男の救急行くか迷った時はおそらく大発作です。
治療方法と薬
喘息と診断されれば、病院の先生に詳しく聞けばよいと思いますが、きちんと知識として持っておいた方がが先生の話も頭に入りやすいと思います(あとは、治療方針の相談などもしやすい)。治療の基本は長期管理薬と発作止めの薬になります。
コントローラー(長期管理薬)
毎日使う薬で発作が起こりにくくなるよう調節する役割があります。気管支の状況を改善していくもので喘息治療の中心になります。薬には大きく分けて、二種類があります。
一つ目は、吸入ステロイド薬です。即効性はありませんが、気道の炎症を抑え、発作の予防を行います。うちがかかっている小児科の先生によると、昔は喘息にステロイド治療なんて考えられなかったそうですが、これが普及してからは亡くなる人が随分と減ったそうです。
二つ目は、気管支拡張薬です。その中でももう少し細かく分類があり、長時間作用性β2刺激薬、抗アレルギー剤(ロイコトリエン受容体拮抗薬)、テオフィリン徐放製剤、長時間作用性抗コリン薬などに分けられます。
吸入ステロイド薬と長時間作用性β2刺激薬を配合した薬もあり、広く用いられています。
大分類 | 小分類 | 商品名 | 備考 |
吸入ステロイド薬 | 吸入ステロイド薬 | アズマネックス®、オルベスコ®、キュバール®、パルミコート®、フルタイド®など | ステロイド薬は副腎皮質ホルモンを元に造られた薬剤で、ぜん息治療の中心となる薬です。薬を吸い込んで直接肺まで届けることで、炎症を抑えます。 |
気管支拡張薬 | 長時間作用性β2刺激薬 | セルベント®(吸入薬)、ホクナリンテープ®など | 交感神経(β2受容体)を刺激して、気管支を広げる働きがあります。長期管理薬として使う場合は、吸入ステロイド薬と併用するのが基本です。 ホクナリンの内服薬は、比較的即効性がありますが、テープはゆっくりと長い時間(一日)持続します。 |
吸入ステロイド薬/長時間作用性β2刺激薬配合剤 | アドエア®、シムビコート®、フルティフォーム®、レルベア®など | 気管支の炎症を抑える効果と、気管支を広げる効果があります。 | |
抗アレルギー剤(ロイコトリエン受容体拮抗薬) | オノン®(プランルカスト)、キプレス®・シングレア®(モンテルカスト) | 気管支を収縮させる作用に深く関係しているロイコトリエンという化学伝達物質をブロックする働きがあります。 | |
テオフィリン徐放製剤 | スロービッド®、テオドール®、テオロング® | ゆっくり溶ける(徐放)作用時間の長い薬で、気管支を広げる働きがあります。また、弱いながらも、抗炎症作用があることも報告されています。 | |
長時間作用性抗コリン薬 | スピリーバレスピマット® | 気管支の収縮をうながす神経伝達物質のアセチルコリンという物質をブロックし(副交感神経を抑える)、気管支の収縮を抑える働きがあります。 |
リリーバー(発作止めの薬)
発作が起きた時にだけ使う発作止めの薬です。細くなった気道を広げて呼吸を楽にする働きがありますが、基本的に気管支の炎症を抑える働きはないです。
こちらも経口ステロイド、短時間作用性β2刺激薬、テオフィリン薬、短時間作用性吸入抗コリン薬などの種類がありますが、どれも短時間だけ使用するもので、すぐに症状を軽快する目的で使用されます。ちなみにうちの子は恐らくリリーバーとして、ホクナリンドライシロップを処方されています。調べていると、ホクナリンドライシロップ微妙な位置づけのようで、中時間作用型と記載されているものもありました。独立行政法人環境再生保全機構の資料上では、短時間作用性β2刺激薬として分類されています。ただし、本薬の「効能または効果に関連する注意」をみると以下のようになっています。
〈気管支喘息〉
気管支喘息治療における長期管理の基本は、吸入ステロイド剤等の抗炎症剤の使用であり、吸入ステロイド剤等により症状の改善が得られない場合、あるいは患者の重症度から吸入ステロイド剤等との併用による治療が適切と判断された場合にのみ、本剤と吸入ステロイド剤等を併用して使用すること。
実は、この記述がすごいひっかかっているのですが、上記で記載したと通り、短時間作用性β2刺激薬としても分類されてるようなので、うちの子のように、まだ軽度であればリリーバーのような形でも利用可能と勝手に都合よく解釈しています。先生は気管支拡張薬として処方しており、また、小児の場合は吸入が難しいため、もう少し様子をみて症状が継続するようなら吸入も検討すると言っています。即効性が必要な場合は点滴を打つと言う方法もあるようです。
喘鳴がある場合は気管支が狭くなっているので、そのまま放置すると知らない間に悪化したり、治療のタイミングを逃してしまうこともあると思います。喘鳴(呼吸音の異常)症状がある場合は、喘息かどうかにかかわらず、呼吸音が変だと言う言い方でも良いと思いますので、病院で症状を細かく伝えるのが良いと思います。
我が家のぜんそく対策
小児喘息と診断された我が家の子供達。大発作が1度だけですが、発生したこともあるため、かなり環境を気にするようになりました。我が家の場合の喘息対策を以下に記載します。理想的な対策とは程遠い気もしますが、教科書通りにやるとかなり負担が大きいため、できる範囲で行っています。
病院(かかりつけ医)へ行く
ちょっとでも症状がではじめた場合、それが喘鳴であろうとなかろうと病院へ行きます。先生も喘息だと知っているため、すばやく対処してくれます。俗に言うかかりつけ医ですね。先生に聞くと、喘鳴だけでなく、陥没呼吸かどうかなども判断材料にしているそうです。自分では小発作などは見分けがなかなかつきにくいので、病院で確認するのが一番良いと思います。
アレルゲンの除去
発作の原因となるものの代表として、ダニなどのハウスダストがありますが、これが我が家では一番問題であると認識されました。長期的な対策として必要になってくるものなのでなおさらです。
基本的には掃除、洗濯ですがお恥ずかしい話、夫婦ともに苦手で掃除などはほとんどできておらず、ハウスダストの除去ができていないという状況で、正直、対応が一番難しいです。
ただ、喘息と診断されたからにはできる範囲で対応しはじめています。教科書的な対応では、注意すべきところは色々あります。一言でいうと丁寧な掃除になるのですが、どこまでやるかというのは人それぞれで時間やその他の制約もありできるレベルが決まってくると思います。
小児喘息ガイドラインによると、以下の対策が記載されています。この中で、自分の場合に当てはまりそうなものでできそうなものから対策していくとよいと思います。ちなみに以下は、我が家で対策をしている順(しようと思っているもの含む)で並べています。
- こまめに洗濯し、日光干しを心がける
- ぬいぐるみはなるべく置かないこと。持つ場合はできるだけ数を減らして洗濯する
- 防ダニ寝具の使用や高密度繊維布団カバーを使用する
- エアコンはカビやフィルターのほこりに気をつける
- 照明は天井据付型にする
- じゅうたん、カーペットは敷かない
- 布製のソファーは避ける
- カーテンは薄手の洗濯しやすいものにする
- フィルター付きで集塵袋が二重になった掃除機を選ぶ
- 本棚はガラス戸付きで壁から離す
仕事の関係もあり毎日布団のシーツを洗って掃除機で吸う、なんて事は現実的ではないので週一回は洗うようにして布団も天気のいい日を狙って干すように心掛けています。また、子どものおもちゃが散乱して掃除機をかけられない状況が多かったですが、ハンディクリーナーを導入し、できる限り掃除(特に寝室)をするようにして、換気もするように意識しています。どれも夫婦の協力が必要なので一人ではなかなか難しいことだと思いますが、喘息を悪化・慢性化させないためには必要なので頑張ってやっていきたいと思います。
ちなみに、我が家で購入したハンディクリーナーです!
購入するまでにはかなり悩みましたが購入してよかったと思います。実は特に喘息対策として購入したわけではないですが、結果的に喘息対策としても大活躍しています。
吸引力は当然普通の掃除機にはかないませんが、ホコリや髪の毛など軽いものはピンポイントで狙って吸えるので、実用的なレベルです。気になるところは音と横から噴き出る排気ですが、これは、どの機種でも大概出るようなのでそんなもんだと割り切れば、全然問題なく、むしろ手軽に掃除ができるメリットの方が、かなり上回っています。気が付いた時にさっと掃除できる、これが一番のメリットです。
久々に購入した家電の中でのヒットです。
唯一、気になるところは製品寿命です。子ども達も私たちも、立ててある掃除機に当たって何度も倒すので、すぐに壊れる可能性にヒヤヒヤしています。
どれくらい持つかはわかりませんが、購入して数か月、今のところは大活躍しています。
その他の喘息の原因の除去
喘息の原因として挙げたものの中で、気をつけているのが、ウイルス感染(風邪)と天候(寒さ)、その他(冷たい飲み物など)です。個人的に、子供は冷たい飲み物などを飲んだら気管支が収縮しやすいような気がしています。また、寒い日などには一気に体が冷え、冷たい空気を吸い込むことで気管支の収縮が引き起こされるのではないかと思っています。それらを避けることで、喘息の原因を一つでも取り除いてあげることが子供たちの小児喘息を治す一番良い方法ではないかと思っています。
さいごに
実際、うちの子に処方されているのは、ホクナリンドライシロップやシングレアです。そこまで繰り返し喘息の発作が起こっているわけではないので、まだ軽いほうだと思っています。ただ、実際に大発作を経験しているので、薬しかり生活環境叱り、喘息には最善の注意を払って対応しているのが現状です。小児喘息になったら一番しんどい思いをするのは子どもで、それを見ている親も辛いのでできる限り対応をしてあげられるように、喘息とは何なのかから実際の対応も含めてまとめているので参考にしてもらえると幸いです。
参照
- 小児ぜん息基礎知識|独立行政法人環境再生保全機構 (erca.go.jp)
- 図解でわかる!小児喘息
- 患者さん向け 小児ぜん息治療ガイドライン 小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2020