前回、何とかxubuntuで電子ピアノの音を録音することができるようになりました。pianoteqはトライアル版なので出ない音があるのを承知で使い始めましたが、すぐに気になり始めたため、新しい音源を探し始めました。
ソフトウェア音源とは
ソフトウェア音源とはざっくりとした概念ですが、パソコンで実際の楽器の音を再現するためのソフトウェアです。これがあれば、様々な楽器の音を再現できます。ピアノだけはなくドラムやギターなどもあります。
しかし、ピアノだけでも何十種類もあり、使用方法も多種多様で、用語も専門的すぎるため、なかなか選択できるものではありません。ardourのプラグインで使用する音源の形式も複数あり、試すのにも時間がかかりました。そのなかで何とかよさげなものをいくつか残しておきます。
ピアノ音源 | 評価 | 音源形式 |
Piano ONE(Neo Piano) | 音の大きさ、音質もバランスがよく個人的にはベストです。 | VTS |
Salamander Grand Piano | Neo Pianoと比べると、同じベロシティ(鍵盤を弾く強さが同じデータ)でも音が小さいです。音は綺麗です。簡単に導入するならこれが一番良いかも。 | sfz |
Salamander Piano | 上記Salamander Grand Pianoと同じ音源。しかし、形式が違うためか音質は低音が響く感じです。Iowa Pianoよりは、若干高め。音量は上記と同様に、同じベロシティでも小さめです。 | VTS |
Iowa Piano | この中では、一番低めの音がよく響く感じです。音量は上記と同様に、同じベロシティでも小さめです。 | VTS |
おすすめプラグイン(ピアノ音源)
Piano ONE(Neo Piano)
Piano ONEとはSoundMagic,Co.,Ltdが作っているフリーのソフトウェア音源です。中国の北京が発祥の会社で、今は、カリフォルニアとロンドンにもオフィスがあるようです。フリーでここまでの音が出せるのはすごいと思います。YAMAHAのC7のグランドピアノの音を使用しているそうです。今のところこれが一番良いように思います。
(SoundMagic社のトップページからProduct→Piano/Keyboard→Piano ONEでダウンロードページに飛べます)
- PianoONE(NEO Piano)を使用した音のサンプルです。
Salamander Gland Piano
Salamander Grand PianoはAlexander Holmさんが作ったフリーのソフトウェア音源(ライセンスはCC-BY-3.0)で、Yamaha C5をサンプリングしたものです。音量はNeoPianoに比べて小さいですが、音質はキレイなので良いと思います。こちらはsfz形式なので、Linuxのサンプラー(Sampler)の1つであるsfizzをインストールすれば、lv2のプラグインとして追加され、そのサンプラーのInstrumentにsfzファイルを指定してやるだけで使用できるため、手軽にできる音源としてはベストかもしれません。
- Salamander Grand Pianoを利用した音のサンプルです
Salamander Piano
Salamander Pianoは、上記のもの(同一バージョンかは不明)をbigcat Instrumentsが形式変換したフリーの音源と記載を見たような気がしますが、全然音質が違います。なぜかはわかりません。しかし、bigcat Instrumentsのサイトは2018年で更新がストップしており、新しいwebサイトもなくなっていたため、開発は継続されていないのかもしれません。ダウンロードはplugins4free.comから行いました。
- Salamander Pianoを利用した音のサンプルです。
Iowa Piano
Iowa Pianoはbigcat Instrumentsが作ったフリーの音源です。スタインウェイグランドピアノをサンプリングした音源だそうです。ダウンロードはplugins4freeのサイトより行いました。
- Iowa Pianoを利用した音のサンプルです。
聴き比べた感想
上記サンプルは、同じMIDIデータをもとに複製しています。4種類を聴き比べるとよくわかりますが、同じベロシティ(鍵盤を弾く強さのデータ)でも通す音源によって全然音量が違います。個人的には最初にみつけたNeoPianoが一番いいと思ったのですが、残りも音量は小さいものの、そんなものだと最初から考えれば、ピアノの音質自体は十分だと思います。後は、好みの問題でもあるのかなと思います。
無料でこんな色々な音源があるのは素晴らしいと思いますが、ありすぎて逆に選べなくなってしまいます。
プラグインのxubuntuへのインストール方法
次に、インストールの方法です。フリー音源のプラグインは形式の問題もありなかなかLinux版というものがないため、大体WindowsのVTS版を利用することになります。
それをxubuntuでも利用できるようにするために用意したソフトウェアが以下の2つ
- Wine
- yabridge
Wineとは
Windowsのアプリケーションを利用できるようにするソフトウェアです。詳しくはWikipediaを参照してほしいですが、具体的には、WindowsのアプリケーションをLinux上でエミュレートせずにDLLの代替品を供給するなどして、ネイティブで動作させることができるソフトウェア(Wine)です。
Wine Is Not an Emulaterの頭文字をとったもの、とも説明されています。
yabridgeとは
調べた限りでは一番メジャーそうなソフトでWindowsのVTS形式のプラグインをxubuntuのDAWへブリッジするソフトウェアになります。githubの説明をさらっと見ると、LinuxプラグインホストでWindows VSTプラグインをネイティブプラグインのようにシームレスにサポートする、ようです。
インストール概要
手順の概要を示すと以下の通りです。
- Wineのインストール
- yabridgeのインストール
- 各種プラグインのインストール
具体的な手順を入れると長くなりそうなので、次回の記事に記載しようかと思います。