初めてミニPCを購入しました。仮想環境を導入することで色々遊べそうかなと思いつつ、実用もかねてのものなので、悪戦苦闘しながらの構築記録です。今のところ、目的はOpenWRTルーター、広告ブロック・キッズフィルタリング用DNSです。
きっかけ
以前、よく記事を目にしていたのが、CeleronJ4125搭載の機器にVmwareを入れて仮想環境を構築したり、ルーターとして仕立てるというものでしたが、同じようなことができないか検討していました。
その時にIntel N100搭載のミニPC環境構築が記事になっているのを何度か見ていたこともあり、できるかどうか半年以上は悩みながら検討した結果、hunsnのミニPCを購入するに至りました。
Intel N100搭載ベアボーンPC(マザーボード)
AmazonやAli Expressで確認していると、似たようなスペックのミニPCがたくさん出ています。色々悩んだのですが、最終的に、Intel Processor N100搭載でネットワークは Intel 2.5GbE I226-Vポートを4つ持っているHunsnの「RS52」というモデルのベアボーンをアマゾンで購入しました。ちなみに拡張可能なのは、1 x Mini PCIE for WiFi/4G, 1 x M2 2230 for CNVI WiFi, with SIM slot, 1 x 8-way JGPIOとありました。
事前にAmazonで問い合わせをすると、親切に写真やマニュアルなども送付してくれました。日本語でも英語でも素早いレスポンスでした。
筐体を確認すると、以下のようなインターフェースを備えています。このあたりはモデルによって変わっているようです。
●本体側面(電源側):
CMOSクリアボタン、Simスロット、電源スイッチ、2×USB3.0ポート、USBタイプCポート、COMポート、両端にWifiアンテナ用にSMAコネクタサイズの穴が開いています。
●本体側面(LANポート側):
4×2.5GbE(ETH0、ETH1、ETH2、ETH3)、HDMIポート、Display(DP)ポート、2×USB2.0ポート、DC_IN(12V)
ファンレスPCのため、筐体全体がヒートシンクになっており金属板を外せば以下のようになっています。熱が心配なので裏に冷却シールも張りました。
●背面カバーのネジを外し、あけたところ。4つのネジでマザーボードが固定されています。マザーボードの取り外しには側面カバーも外す必要があります。SSD、メモリ、Wifiコネクタ装着済み
●マザーボードの裏側。真ん中にはグリスがたっぷりと塗られています。Wifi装着済み
SSD
今回はSSDは耐久性などを考慮し、SamsungのSSD(980 MZ-V8V500B/IT)を購入。
スペックは、PCI-Express Gen3×4 TLC、シーケンシャルリード最大3100MB/s、シーケンシャルライト最大2600MB/sのNVMe SSD、300 TBWです。速度的にはこれで十分です。
メモリ
メモリは、1 x SODIMM DDR4 3200 MT/s, max.32GBとあったため、CFD販売の16GBのメモリを購入。
検討している途中、DDR5に対応しているミニPCも出てきましたが、最終的にはDDR4のマザーボードにしました。
Wifiモジュール
ここがうまくいくか鬼門、最後まで悩んだポイントですが、一応マザーボード的には1 x M2 2230 for CNVI WiFiのインターフェースがあるためよくわからない中華製ではなく、技適も通っているASRockのIntel 802.11ax Wi-Fi 6E Kitを購入。
ちなみに今のところ、ハードウェア的には対応しており、WindowsやDebian上で動作はできることは確認済みですが、Proxmox上のOpenWRTではまだ認識できていません。
Wifiの動作確認
当初、ProxmoxにOpenWRTをインストールしました。しかし、Proxmox上のOpenWRTでは、Wifiがデバイスとして認識できなかったため、悩んだ挙句、どこまで動作するか確認することにしました。
Windows11
まずは、Windows11をインストールしました。ネットからWindows11のインストールメディアをダウンロードしてUSBから起動しました。しかし、Windows11は初期ではオンライン接続がないと初期設定できないという微妙な仕様となっていました。
インストールメディアの作成
Windows 11 のダウンロード (microsoft.com)より、「Windows 11 のインストール メディアを作成する」の「今すぐダウンロード」をクリックして「mediacreationtool」をダウンロードします。
ダウンロードしたファイルを実行し、USBフラッシュドライブにインストールメディアを作成します。ミニPCの起動順をUSBドライブからにして、起動します。特に問題なくインストールが終わり、USBを抜いて再起動します。
初期設定時の問題
インターネット接続がない今回のような場合、インストールが終わって再起動後、初期設定が始まり、「ネットワークに接続しましょう」 のところで、「次へ」の選択肢がグレーアウトして先に進めなくなっています。
先に進めない「ネットワークに接続しましょう」の画面で「Shift+F10」をクリックします。するとコマンドプロンプトが起動しますので、以下のコマンドを実行します。
> OOBE¥BYPASSNRO
その後、以下のコマンドで再起動します。
> shutdown /r /t 0
再起動すると、再び初期設定が始まるため、そのまま進めると「ネットワークに接続しましょう」の画面で、今度は「次へ」の左に、「インターネットにしていません」という項目が出ており、先に進むことができるようになっています。
最終的にMicrosoftアカウントは作成せず、ローカルアカウントを作成して先に進めます。
初期では、Intel I226やAX211などはすべて不明なデバイスとみなされていました。そこで、別のPCにてインテルのHPから、インテル® Wi-Fi 6E AX211 (intel.co.jp)のドライバをダウンロードしてUSBに格納。RS52に接続してインストールしました。
そうすることで、きちんとWifiデバイス(AX211)を認識できるようになり、ネットワーク接続も可能となりました。
Debian bookworm
次に、ProxmoxがベースとなっているDebian上では認識するか確認するためDebian bookwormをインストールしました。
公式HP上よりISOファイルをダウンロードしてインストールします。テストなのでインストール時の設定は適当にしました。
インストールするソフトウェアは、デスクトップ環境を入れると簡単にWifiの接続が確認できました。デスクトップ環境なしでもWifiデバイスを認識し、WifiクライアントとしてAPに接続(wpa_supplicantを利用)することができました。こちらについては後日時間があれば設定など記録に残しておきます。
その後、Debian上にProxmoxをインストールしましたが、仮想環境を作成する際、LVの設定などが、Proxmoxのデフォルトと異なっていました。恐らくインストール時のディスクのパーティショニングが適当だったのが原因でしょう。そのため、再度Debian上ではなく、Proxmoxから入れなおしました。
wifiの現在の状況
2024年10月現在、Proxmox上に構築したOpenWRTからはWifiデバイスは確認できません。恐らく、ファームウェアの問題で、OpenWRTからは認識できていないように思います。そのため、次期OpenWRTのバージョンで対応されることを期待しています。
次回は、Proxmoxのインストールと、OpenWRTのインストールについて触れてみます。